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大手銀行の出世コースから外れ、子会社に出向、転籍させられたまま定年を迎えた主人公・田代壮介。仕事一筋だった彼は、定年を迎えて途方に暮れる。年下でまだ仕事をしている妻は、旅行などにも乗り気でない。図書館通いやジムで体を鍛えることは、いかにも年寄りじみていて抵抗がある。職探しをしてみても、高学歴や立派な職歴が邪魔をしてうまくいかない。生きがいを求め、居場所を探し、あがき続ける田代に再生の時は訪れるのか。
「定年って生前葬だな」と、何とも衝撃的な書き出しで始まる『終わった人』ですが、冷静に見るとこの「終わった人」というタイトルのパンチの強さもなかなかのもの。しかし中身の辛らつさといったら、タイトルどころの騒ぎではありません。主人公・田代のおバカ加減や格好悪さは、ユーモアを交えながら描かれているものの、いわゆる“お涙ちょうだい”ストーリーよりも、胸にくる物悲しさがあります。とくに年下の久里に抱く淡い恋の行く末といったら…、思い出すだけで顔を覆ってしまいたくなるほど。「この人どうなってしまうの?」と不安に思う読者に対し、あの軽妙なエンディングで締めるあたりは、さすがは内館牧子と言えます。ちなみに、映画版では舘ひろしが田代を演じるというのだから、こちらも見どころ十分。田代のようになりたくないと反面教師にするのも良し。みんな同じなのだと安心するのも良し。すべてのシニア世代に贈りたい「定年バイブル」です。
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